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<マイブログ>Vol.268 第64回精神分析学会(3)
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 日本精神分析学会第64回大会、ドナ・オレンジ先生(ニューヨーク大学)の講演「トラウマ、沈黙、そして解離」の続きは次の通り。
 私たちの誰もが無意識的に解離された傷を持っている。その自分の外傷体験を避けることは、患者の解離の分析過程の時の妨げになる。そのことを私たちは間主観的な視点から強調したい。
 しかし家族の誰かに戦争の体験があっても、誰もそれについて話したがらない。それは日々の生活から切り離されても、深い暗雲となって残っている。これを「沈黙によって招かれたトラウマ的な解離」と呼ぶ。そのトラウマは子供から孫へと世代を越えて伝達されて亡霊のように現れ続ける。
 私たちに必要なのは歴史を勉強すること。そうすれば無意識が意識化され、解離されたものが解きほぐされる。私たちが自分の家族から学ぶことのできなかったものが現れて、幽霊に苦しめられている患者の話に耳を傾けることができる。さらに患者は自分に取り付いているものが何かを認識する。そうやって患者は無意識を意識化することによって解離と防衛を理解する。
 トラウマとなるものが犯罪を含んでいようと、辛い喪失を含んでいようと、苦悩や混乱を含んでいようと、精神分析はそれらが記憶からよみがえるよう手助けする。
 そうやって誰かに立ち会ってもらったり支えてもらえたりすることによって、沈黙した人たちは、一人で知り話すことが辛いことも語り始める。たとえ彼らがすでに亡くなっている人であっても。そうすることで子供たち、孫たち、私たち治療者や患者が本来の姿で共同体の中によみがえり始める。

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